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DXの主役は、私たちじゃないんだ

LAB NOTE #003
DXの主役は、
私たちじゃないんだ。

作って、試して、失敗して、また作る。
BIM Labが向き合う、泥臭い実験と当事者意識の壁。

DATE2026.06.30 SERIESLAB NOTE #003 THEMEBIM Lab / DX / 当事者意識

BIM Labの実験は、正解を証明するためだけのものではありません。 作って、試して、失敗して、また作る。その積み重ねの中で、私たちは何度も 「DXの主役は誰なのか」を考えてきました。これは、BIM Labの葛藤であり、 同じようにDX推進の現場で悩む人たちへの記録です。

DXは、誰かが用意した正解を導入することではない。

BIM、AI、クラウド、Viewer、iPaaS、データベース。 どれも建築DXを前に進めるための大切な手段です。 けれど、それだけで現場が変わるわけではありません。

技術を作る人がいて、試す人がいて、壊す人がいて、直す人がいる。 その泥臭い往復の中でしか、独自のノウハウは育たない。

DXの主役は、BIM Labではありません。
主役は、変わろうとする当事者です。
01
Rocket / Engineer
『下町ロケット』が、私たちを少しだけ正当化してくれた気がした

スマートに正解へたどり着くのではなく、作って、試して、失敗して、また作る。その姿にBIM Labの現在地が重なりました。

深夜の設計スタジオで試行錯誤を続ける当事者と寄り添うドリー
Trial / Failure / Retry

最近、『下町ロケット』のドラマを見て、心を動かされました。

そこに描かれていたのは、スマートに正解へたどり着く技術者たちではありませんでした。

作って、試して、失敗して、また作る。

信じたものがすぐに認められるわけでもなく、 良いものを作ったからといって、すぐに誰かに届くわけでもない。

誰かに届きそうで、もう少しで形になりそうなのに、 事情や組織の壁の中で止まってしまうこともある。

どれだけ考えても、どれだけ準備しても、 現場に持っていったら見てもらえないことがある。 触ってもらえないまま、判断されてしまうこともある。

その姿が、今のBIM Labの状況に重なりました。

BIM Labで行っている実験も、きれいな成功の連続ではありません。

むしろ、作っては迷い、試しては壊れ、 届いたと思ったら届いていなかったことに気づく。 そんなことの繰り返しです。

それでも、あのドラマの中にあった泥臭さは、 私たちにとってどこか救いのようにも感じました。

LAB NOTE

スマートにやろうとしなくていい。 最初から正解でなくてもいい。 作って、試して、失敗して、また作るしかない。

そう思えたとき、BIM Labがやっている遠回りも、 少しだけ正当化された気がしました。

02
Respect / Field
それでも、現場を否定したいわけではない

設計者には納期があり、施工者には現場があり、維持管理者には建物を守る任務があります。

設計者、施工者、維持管理者それぞれの事情と責任をつなぐドリー
Respect / Context / Field

ただ、私たちは現場を否定したいわけではありません。

BIMに少しでも目を向けてくれること。

忙しい中で説明を聞いてくれること。

「こういう使い方ならできるかもしれない」と一言でも返してくれること。

本当は、それだけでもありがたいことだと思っています。

設計者には設計者の納期があります。

施工者には施工者の現場があります。

維持管理者には建物を守る任務があります。

それぞれが、自分の責任を果たすために日々動いています。

その中で、新しい技術や新しい仕組みに時間を割くことは、決して簡単ではありません。

BIMやDXが正しいと言われても、目の前の仕事がすぐに適応できるわけではありません。

設計は進めなければならない。

現場は止められない。

不具合が起きれば対応しなければならない。

だから、BIM Labが考える正論を、そのまま現場に押しつければいいとは思っていません。

むしろ、そこにこそ難しさがあります。

私たちは、今のしがらみを少しずつほどきたい。

でも、その“今のやり方”にも、これまで積み重ねてきた工夫や理由があります。 変えられない理由も、ちゃんとある。

BIMを使えば、こんなことができる。

この業務が楽になる。

この情報がつながる。

この確認が早くなる。

そう思う場面は、たくさんあります。

でも、BIMを使うこと自体が目的になってはいけない。

本当に必要なのは、正しい技術を押しつけることではなく、
その人、その部署、その会社、その建物にとって、無理なく始められる入口を一緒に探すことじゃないか。
03
Ownership
DXの主役は、私たちじゃないんだ

BIM Labが作ったものを現場に渡すだけでは変わらない。必要なのは、一緒に悩み、試し、壊し、直していく関係です。

過去の苦しさと未来の希望の境界を越えて一歩踏み出す当事者とドリー
Ownership / Collaboration

『下町ロケット』の中に、心に残っている言葉があります。

いいときも悪いときも、信じ合っていくのが本当のビジネスなんじゃないのか。

この言葉を聞いたとき、BIM Labが向き合っているDXの難しさにも近いものを感じました。

BIMを検討しよう。

DXを進めよう。

建物管理を変えていこう。

そうしたトップダウンの方針から、私たちBIM Labへ相談に来ていただくことがあります。

そこから私たちは、調べ、作り、試し、導入に向けて準備します。

どうすれば現場で使えるのか。

どうすれば管理者に伝わるのか。

どうすればその会社、その建物に合う形になるのか。

考えて、形にして、持っていく。

触ってみて、使ってみて、聞いてみる。

もちろん、必ず課題は出てきます。

けれど、少なくない場面で、
「これでは難しい」
「まだ時期尚早だった」
そう感じさせてしまうことが、これまでにもありました。

もちろん、それぞれに事情があることは分かっています。

設計が間に合わない。

現場が忙しい。

管理業務が回らない。

新しいことを試す余白がない。

それでも、DXは私たちだけでは進められません。

BIM Labが作ったものを、現場に渡すだけでは変わらない。

説明を聞いてもらうだけでも変わらない。

一度触って「使えそう」「使えなさそう」と判断するだけでも、まだ足りない。

本当に必要なのは、

「こうしよう」

「ああしよう」

「どうしたら使えるだろう」

と、自分ごとのように一緒に考えることなのだと思います。

一緒に悩み、試し、壊し、直していく関係がなければ、DXは前に進みません。

DXの主役は、私たちではありません。

主役は、その業務を担う人であり、
その建物を守る人であり、
その会社を変えていこうとする当事者です。

改革には、現実を少し否定する力が必要です。

今のやり方をすべて否定するという意味ではありません。

けれど、「今のままで本当にいいのか」と問い直すことからしか、変化は始まりません。

だからこそ、私たちは思います。

DXは、誰かに作ってもらうものではない。

誰かが作ったものを、ただ使いこなせるようになることでもない。

Ownership

自分たちで試し、
自分たちで壊し、
自分たちで育てていくものなのだと。

04
Future Options
変化を求める者にこそ、未来の選択が増える

「これは使えない」で終わらせず、「こうなれば使えるかもしれない」まで膨らめば、それは改革の第一歩になります。

BIMの本から未来の選択肢が幻想的に広がっていくイメージ
Small Trial / Future Options

変化しないことにも、理由があります。

今のやり方で回っている。

新しい仕組みを覚える時間がない。

失敗したときの責任が怖い。

自分の業務が増えるかもしれない。

使いこなせるか分からない。

その感覚は、決して間違っていないと思います。

ただ、変化を避け続けると、少しずつ選択肢は減っていきます。

属人的な管理から抜け出せない。

担当者が変わるたびに、同じ説明を繰り返す。

過去の判断が残らない。

建物の情報がつながらない。

改善しようとしても、どこから手をつければいいか分からない。

反対に、少しでも変化を求める人には、未来の選択肢が増えていきます。

BIMを完璧に使いこなす必要はありません。

最初からシステムを完成させる必要もありません。

大きな改革を、一度で成功させる必要もありません。

まずは、触ってみる。

疑問を出してみる。

使えない理由を言葉にしてみる。

「これは使えない」で終わらせるのではなく、
「こういう形だったら使えるかもしれない」
「こういうものがあれば、もっと良くなるかもしれない」
「全部は難しいけれど、これだけなら試す価値があるかもしれない」

そこまで考えてみる。

不満や不評をそのまま置けば、それはそこで止まります。

でも、そこから
「もしも」
「だったら」
「こうなれば」
まで膨らめば、それはもうアイデアです。

そして、そのアイデアは改革の第一歩になります。

一つだけ業務とつなげてみる。

一つだけ台帳を整えてみる。

一つだけ建物情報を見える化してみる。

その小さな試行が、次の選択肢を生みます。

やってみたから、合う・合わないが分かる。

試したから、必要・不要が分かる。

失敗したから、次の条件が見えてくる。

変化を求める人だけが、次の判断材料を持てます。
次の可能性に気づけます。
次の価値にたどり着けます。

BIM Labの実験は、その未来の選択肢と価値を育てるためのものでもあります。

05
Supporter
挑戦者の誰よりの理解者でいること

BIM Labは正解を配る場所ではなく、変わろうとする人の迷いの隣に立つ実験室でありたい。

挑戦者の隣で未来へ続く道を見守るドリー
Supporter / Challenge / Lab

BIM Labは、正解を配る場所ではありません。

BIMを使えばすべてが解決する。

クラウドにすれば一元化できる。

AIを入れれば業務が楽になる。

プラットフォームを作れば建物管理が変わる。

そんな単純な話ではないことを、私たちは何度も感じてきました。

その会社には、その会社の事情があります。

その部署には、その部署の役割があります。

その建物には、その建物だけの履歴があります。

その人には、その人が守ってきた仕事のやり方があります。

だから、私たちは正論を押しつけたいわけではありません。

今すぐ変えなくても、今日の業務は回るかもしれない。

今のやり方でも、明日すぐに困るわけではないかもしれない。

それでも、未来のために変えたい。

このままでいいのかと問い直したい。

少しでも次につながる形を探したい。

そう思う人の、誰より近くの理解者でありたい。

BIM Labは、そのために存在しているのだと思います。

変えたいけれど、どこから始めればいいか分からない。

BIMに興味はあるけれど、業務にどうつながるか分からない。

建物情報を整理したいけれど、何を残せばいいか分からない。

DXを進めたいけれど、現場を置き去りにしたくない。

そういう迷いの隣に立つこと。

そして、その想いを最大化し、その人、その部署、その会社、その建物にとって 最適な形へ近づけるために、納得できるまで挑むこと。

一緒に考え、

一緒に作り、

一緒に試し、

一緒に失敗すること。

そして、その失敗も含めて、次の誰かのノウハウに変えていくこと。

それが、BIM Labの役割なのだと思います。

私たちは、主役ではありません。

主役は、変わろうとする人です。

変えたいと願う人です。

その会社をよくしたい人です。

その建物を守りたい人です。

今の仕事を、少しでも次につなげたい人です。

BIM Labは、その挑戦を否定しません。

作って、試して、失敗して、また作る。

その泥臭い積み重ねの先にしか、独自のノウハウは生まれない。

そして、そのノウハウはいつか、誰かの助けになる。

たとえそれが、少し無謀で、少し夢物語のような世界だとしても。

私たちは、まだそれを信じています。

DXは、誰かが用意した正解を使うことではない。

BIM Labの実験は、正解を証明するためだけのものではありません。 有効だったことも、無効だったことも、届かなかったことも、使われなかったことも、 すべてが次の誰かの判断材料になります。

DXの主役は、DX担当者ではありません。 主役は、その業務を担う人であり、その建物を守る人であり、 その会社を変えていこうとする当事者です。

私たちは、正解を押しつけるのではなく、 一緒に作り、一緒に試し、一緒に失敗しながら、 その会社、その現場、その建物だけのノウハウを育てていきたい。

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次回は、「人、企業、建物をつなげ、BIMで価値を育てる」という言葉に込めた思いについて書いていきます。

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